2014年1月13日月曜日

MendelMaxで2色刷り(その3)溶かして除去できるサポート素材(HIPS)を使用して3Dプリント

前回、デュアルエクストルーダーが完成したことを報告しましたが、以前から試してみたかったのが溶解、除去できるサポート材。PLAにはPVA(ポリビニルアルコール)、ABSにはHIPS(耐衝撃ポリスチレン)が使えると言われています。
今回は比較的安価なHIPSが入手できたので、ABSとHIPSの組み合わせを試してみることにしました。HIPSはリモレンという柑橘類から取れる溶剤によく溶けます。ABSはリモネンに溶けないのでHIPSだけが残るって仕組みです。リモネンがポリスチレンを溶かす仕組みは検索してください。大事なことはアセトンなどの有機溶媒とは違う仕組みなので代用が効かないってことです。リモネンを安く売ってるところを探したのですが、なかなか見つかりません。結局HIPSよりも大分高くなりました。

さて、今回のテストに使うデータですが、溶解除去可能なサポートのテストの定番として、ThingiverseからHilbert Cubeを借りてきました。サポート構造のデータも用意されていますが、今回はSlic3rの自動生成サポートでも大丈夫か知りたかったので敢えて使用しません。早速ですがABS(青)、HIPS(白)で出力しました。

サポート材が白なのでもう一方のノズルが引っかかった後が目立ちますね~。ノズル交換時のリトラクション設定が甘いんだと思いますが、まだ解決してません。

リモネンは無色透明の液体ですが、柑橘類の匂いの成分らしく、柑橘類の皮の匂いを濃縮した感じです。密閉できる容器じゃないと家中が柑橘類の香りで満たされます。ちょうどいいサイズの入れ物がありました。鮭フレーク…

出力したものが完全に沈む量のリモネン(50~100ccくらい)に漬け込みます。待つこと数時間。(時々瓶を揺らしたり、溶けかけたサポート材を剥がしちゃったりしました)


2014年1月5日日曜日

Repetier-firmwareとMarlinの比較

デュアルエクストルーダーを使い始めて気がついたのですがこの二つのファームウェア、基本的なところでは大きく違わないのですが、細かい使い勝手を考えると結構違っていました。

Marlinはデフォルトで対応しているボードの種類(設定)が多く、購入時にインストールされていることも多いため、ほとんどの人が使用しているのではないでしょうか。通常の構成であれば機能も必要十分だと思います。なのでMarlinからRepetierに変更して良かった点、困った点について中心に書きます。

良かった点
  1. デュアルエクストルーダーのE stepを個別に設定可能
  2. Repetier-Hostとの連携によりエクストルーダー、ヒーター関連のg codeを無視するドライランが使える
  3. 最新バージョンでは設定をweb上で行ってからダウンロードできるのでconfigファイルの編集が必要なくなった
困った点
  1. 設定例等の資料が若干少ないため、一部戸惑う(例:エクストルーダーのオフセット、単位はモーターステップ数)
  2. configファイルのレイアウトが分かりにくい(例:デルタタイプの設定があちこちに点在して分かりにくい)
  3. エンドストップのノイズ対策がmarlinよりも弱いのか、ノイズによる誤動作が多い
  4. ホットエンドのサーミスタのノイズ対策が(以下略)
良くわからなかった点
  1. Repetier-Hostとの連携でバイナリによる高速通信が可能になる

良かった点1は今までに散散書いてきたから省略。2はめったに使わないですが、動作確認時は重宝します。3は結構画期的だと思います。configファイルをエディタで編集って慣れない人には結構大変だと思いますし、ミスタイプによるエラーも減ります。何よりバージョンアップ時のconfig再編集が楽。
困った点の1,2は前述のweb設定でかなりの部分が解消されると思います。それに対して3,4は地味ですが結構困りました。特にMarlinでは問題なく動くため、これまで気にしていなかったのですが、よくあるモーターとエンドストップの配線をひとまとめにする方法だとまともに動作しなくなります。エンドストップは原点に戻る動作を見張っていればいいのですが、サーミスターの方はそうもいきません。一瞬でも設定範囲から外れるとエラーでドライランモードに移行されてしまったりします。モーター、ヒーターの配線とエンドストップ、サーミスターの配線は少し離れた位置に配線し、コネクタの接触不良などが絶対に起きないようにチェックする必要があります。
良くわからない点としてバイナリ通信があります。より高速な通信が可能になるとのことなのですが、高速になったメリットがあまり感じられません。通信速度がボトルネックになるシチュエーションがあれば試してみたいと思います。

MendelMaxで2色刷り(その2)

前回は今一つパッとしなかった2色刷りですが、その後さらに色々と試した結果、Bowdenタイプの調整をするよりデュアルエクストルーダーを作っちゃった方が早そうという結論に達しました。参考にしたのはThingiverseに公開されているJim's Flying Motor Mount Dual Extruderで、これに普段使用しているMiniExtruderを組み合わせることにしました。MiniExtruderは専用のホブドボルトが必要になるのですが軸部の直径が3mmで軸受けのベアリングが小さく、軽くできるためデュアル構成に適していると思います。完成したエクストルーダーがこちら。